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 昔、教科書が買えない子どもは、上の学年の子から教科書を譲り受けました。今、義務教育の教科書はタダになりました。でも、上の学年へいくと教科書を棄てる子がいます。
 昔、印刷された活字は、本であれ新聞であれ、ある種の権威と威厳をもっていました。たくさんの活字が印刷されるようになった今日、私たちの周りにはかなりの本が積み上げられ、読まれるにしろ読まれないにしろ、いずれは新聞同様に破棄されたり、二束三文で売られたりする商品=物になりました。
 昔、本が貴重なものだったころ、本を朗読する者の周りには耳をそばだてて聞き入る仲間がいました。「蔵書」に囲まれた現代人は、書棚に積み上げられた本たちが、自分を押しつぶしにくるのではないかと悪夢におびえています。万巻の書を読んで修行した宗教者たちの昔は、酸化し茶色くなった書籍がうすれて読みにくくなったように、私たちに記憶の外に去ろうとしています。近代国家ナショナリズムを育成してきた出版文化は、「黙読」する消費者にむけて大量の本を売り込んでいます。ごくわずなベストセラー本と、少部数印刷の高価な本とが著作権法や図書館法といった遺物を武器にして、読者を消費者に仕立てています。読者は書籍文化の昔ながらの権威のオーラを「蔵書」におびさせようとするけれど、使えるお金にはきりがあります。貴重なお金で購入した本の著者に、出版社から支払われるお金はわずかなもの。よい本に出会っても、著者への感謝が出版資本によって薄められるのは耐え難い。

 昔に帰るほうが新しい時代を開くかもしれません。本は買うより借りよう。教科書代が払えなかった昔の子どものように、兄ちゃん姉ちゃんからぼろぼろになった教科書を借りよう。近代学校の始まりのころ、できたての学校よりも、漢学塾の師を慕って家塾で四書五経を学んだ時代を思い起こそう。

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2012年2月4日現在です。順次増やしていますが、基本的に人文系の古い本が主になります。

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